木之下惠美ノート

(社)アロマハンドトリートメント協会理事長 らぼぞうスクール校長 ドイツメデイカルハーブと占星術

今は必須のアルコールと水と石けん 

手、いつもより乾燥しますよね。

手、荒れますよね。

手、アルコールと水と石けんに

日々忙しく出会っていますから。

新型コロナウイルス対策の最前線で。

 

新型コロナウイルスとの関係がどう落ち着いていくのか…日々気になるところですが、出口が見えにくいのも事実です。

これから来る夏、秋、冬、手指の消毒と洗浄は、今と同じようにきっと続けていくことになりそうです。

 

今回は、その手指のことを、お話してみようと思います。少し長く書きましたので、ここからはお時間のある時にぜひ読んでやってください。

 

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手指は身体の他の部位と同じように皮膚で覆われていますよね。指先などは特に敏感な皮膚感覚を持っており、脳と神経と日々連携し、様々な情報を伝達をし合っています。

 

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[親指と他の指の付け根の関節は形が違うので、動き方も違いますよね。と言うことは、脳に望まれる仕事の種類も違うのです。]

 

皮膚は、皮脂膜で覆われ、その下に表皮層、そのまた下に真皮層と皮下組織があります。

 

表皮の表面を覆う皮脂膜の健康は、自律神経でコントロールされ、表皮層は、神経と連動して、私たちの身体を防衛し、こころの伝令をつかさどっています。

  

私たちが人間らしい生活をするために、手指はその最前線で働く最高の道具です。当たり前のようにその最高の道具である手指を、皮膚が覆っています。

 

皮膚の乾燥は、雑菌やウイルスに対する防御反応を弱めますが、昨今、ウイルスを寄せ付けない、またはその作用を弱体化させるために、手指から手首にかけて、特にアルコールをふんだんに使用しなければならないことが多くなっています。新型コロナウイルスから身を守るためには、とても大切なことなです。

けれど、手の皮膚も皮脂膜で覆われていますから、皮脂膜もアルコールや石けんで除去されてしまいます。手を洗い、アルコール消毒することがこまめになるほど、手の皮膚は荒れてしまい、防衛能力が落ちてしまいます。そして脳神経との間の連携もデリケートな状態になってしまいます。

 

カサカサした手指、痒みや痛みのある手指は、

脳と神経に対してもあまり良い影響を与えてくれません。手指の違和感は、知らず知らずのうちに気持ちに悪影響を与えてしまいます。

 

私たちの身体を外界から守る最前線である皮膚表皮は、自然の循環に即して、細胞を刷新しています。これを皮膚のターンオーバーと呼びます。

ターンオーバーは、年齢と共に衰え、肌の再生と剥離がうまく整わなくなっていきます。すると、皮膚のバリア機能を低下し、シワやたるみ、硬化とともに肌のトラブルを引き起こしやすくなってしまいます。

 

皮膚は、湿度が低くなる冬に、バリア機能が低下します。冬に皮膚が乾燥するのは当たり前・と思って過ごしがちですが、実は冬の乾燥が問題なのではなく、夏の高い湿度の次に湿度の低い冬がやってくることが問題であるようです。

 

   蒸し暑い夏  ⇔ クーラー

   乾燥した冬  ⇔ 暖房と加湿

 

このように日々交互にやってくる乾・湿変化も良くないのです。

   

 傳田光洋博士の最近の研究によると…(Sato.J.2002.J Invest Dermatol 119:900-4)

通常の湿度(40~70%)で生活をし、続いて乾燥環境(10%以下)に移っても、バリア機能に異常は起こりません。しかし、高い湿度(90%以上)の環境下で2週間過ごし、同様の乾燥環境に移ると、皮膚のバリア機能に顕著な低下が起きるそうです。

  

加えて、ウイルス対策をしなければならない今は、手指の清浄を保つために、アルコールと水と石けんをとても多く使用しなければならなくなっています。

 

また、乾燥環境に皮膚がさらされると炎症を起こすインターロイキン1αというたんぱく質が、皮膚表皮の最表層に溜まってしまいます。

 

その結果、乾燥環境にさらされている皮膚は、わずかな刺激でも、大きな炎症を引き起こします。また、免疫の最前線を担うランゲルハンス細胞も乾燥環境のもとでは増えてしまいます。

そのため、手指をこまめに洗う、アルコール消毒するという繰り返しは、アトピー性皮膚炎や様々な皮膚トラブルを引き起こしやすくなってしまいます。

 

 

アルコールと石けんと水 ➡ ウイルスに対する対抗 

皮脂の健全化を促進する ➡ 肌のトラブルや老化を抑制

 

最初に、皮膚の表面を覆う皮脂膜は、自律神経がコントロールすると述べましたが、これはみなさんも日々の生活の中で、実感されていることと思います。

  

ストレスフルな状態  ➡ 皮脂が過剰に分泌される

疲れて代謝が悪くなる ➡ 皮脂がうまく分泌されない

 

そして、皮脂膜の下にある表皮層は、脳・神経と連動し、伝令しあう関係にあります。

 

温かいものを触れる ➡ 安心する

冷たいものを触れる ➡ 警戒する

 

この数ヶ月、そしてこれからの数ヶ月、それとも数年、私たち手指の皮膚は、私たち自身と外の世界の間の最前線の防衛隊として、一層過酷に働かなければいけません。

 

新型コロナウイルス対策のためのアルコール消毒としっかり手洗いとともに、保湿と手の感覚の健康を見直すことは、これからの少し長くなりそうなこの環境に、知らず知らずのうちに心を痛めないために、実はとても大切なんです。

 

最近、あなた何を触れましたか。

自分自身の手や腕の体温を感じてみてはいかがでしょう。ほんの数秒でもいいので。

それは最も近い温かな癒しです。

 

 

     木之下惠美 きのしためぐみ