思い立って京都へ。
その訳は、東山魁夷展。
名古屋でも東京でも何度か観たけれど、
東山魁夷が観たかった。
京都国立近代美術館でのテーマは、
本物の「あお」に出会う。
東山魁夷の「あお 」。
平安神宮の朱い鳥居にほど近いその辺りは、樹々の枝葉が折れ落ちて、台風の爪あとがあちこちに。風にむしり取られたように、太めの枝も折れていた。
9月の日曜日。
雨には降られなかったものの、
空は重い曇天。
絵画鑑賞日和かな。
あお 。
あお っていろんな顔があるんだ。
青 でも 蒼 でもなく「あお」。
〜絵を描くことは鎮魂である〜
そう話す東山魁夷。
昭和22年に描かれた「残照」から始まり、北欧の「白夜光」、ドイツ、京都の あお の光と陰が浮かぶ。計70作。
昭和55年 東山魁夷72歳、
「唐招提寺御影堂障壁画 濤声」。
それを観た瞬間、というか観られたように感じた瞬間、魂がポンとそこに飛ばされて、「あお 」の波に包まれ、障壁画から浮き出た 「あお」 にサーっと呑まれ、流され溶かされて、再び浮遊する。
絵の中に時間があった。
魂が流され浮遊してくる間を感じた。
海が持つ鎮魂を感じることが出来た。
海に鎮魂を感じ
馬に神を感じ
月に光と闇の安堵をもらう
東山魁夷の「あお」に鎮魂を感じた。
何回か観てたのに、初めて感じた。
ちゃんと観てなかったんだね、わたし。
魂を時空の中に連れていかれた、
東山魁夷の「あお」だった。